第4週目。地上戦をやるぞ!最終回です。
今週は地上戦に突入します。「挫折した人」にもよく分かる練習法です。地上戦を楽しんでいきましょう。
目次
そもそも地上戦って何?
すごくいい動画がバズっていたので紹介。とにかく分かりやすい。
■格ゲーの「地上戦」における「攻撃の振り方と意味」を、初心者さん向けに解説動画にしてみました。
— 伝説のオタク | PGW 🇯🇵 (@den_ta9) 2020年6月13日
地上戦の「差し合い」は、様々な格ゲーの対人戦で役立つ古からの技術。タイトルや2D.3Dを問わず、色々な格ゲーマーさんに見てもらって、誰かのお役に立てたら嬉しいです#地上戦#格ゲー#サムスピ pic.twitter.com/V7YcK6CVc3
古来より地上戦は、差し込み・置き・差し返しの3種類です。
まずは3つとも体験してみましょう。
ではさっそく最も気持ちいい差し返しから体験してみましょう。
ダミーの豪鬼にレコーディングをします。
- しゃがみ大パンチを出してすぐにしゃがみガードして1秒待つ
設定例
設定できたら、「バトル再スタート」「すぐに右にレバー入れっぱなし」をします。
少し歩いたら「なんでもいいので通常技を出す」と、なんとなく差し返しになります。
成功例
ハイ!気持ちいい。対戦で出来たら永遠に楽しい(重要)。
失敗例
差し返し特有の問題。そういうこともある。
ここでRAPV(c)HORIの豆知識。バトル再スタートのショートカットで使うL3ボタンが押しにくい問題は、アサイン機能で解決できます。一時的にL1とL3を入れ替えておくとトレモが捗ります。
RAPV取扱説明書 https://hori.jp/image/2017/11/instruction-1.pdf
豆知識おわり。
次に差し込み。と思ったけど前に歩いて殴るだけなので各自でやりましょう。歩いてから殴ったり蹴ったりする感じです。割愛。
次に置き(置き技)。
ダミーの豪鬼にレコーディングをします。
- 前に歩く(0.5秒ぐらい)。連続して下がる(0.5秒ぐらい)。元の位置に戻って1秒ほど停止。
設定例
足元のマス目を見ながらレコーディングすると、元の位置に戻りやすいです。
設定できたら、もっとも近い距離になったときに通常技が当たる位置まで前進します。これで準備完了。
そこで「画面を見ずにてきと~」にボタンを押します。これが置き(置き技)です。
本当は相手に当たるときだけ攻撃したいのですが、それを諦めて「とりあえず前方に長めの技を振る」のが置き(置き技)です。キャンセルできる通常技の場合は「通常技を出したらキャンセル必殺技も出す」ようにします。当たったときだけ必殺技が出て、空振りしたときには必殺技が出ないように素早く入力すると強力です。これを「仕込み」と呼びます。仕込み必殺技はガードされても反撃がないものがよいです。
成功例
失敗例
置き(置き技)に失敗はありません。置いたら、もう成功です。やり得。
体験タイム終了です。地上戦について少し理解できたのではないでしょうか。
3行でまとめ。
- 相手が置き!止まってブンブンしてる!→ギリ近づいて差し返しするぞ!
- 相手が前進して差し込み狙ってる!→置きで撃退するぞ!
- 相手が距離を測って差し返し狙ってる!→こっちから前進して差し込みするぞ!
じゃんけん理解した!よし!ランクマするぞ!
でもランクマでやってみると無理なんだが?
できねぇぞ!地上戦むり!もうやだ!
そうなんです。実戦だとできません。ここでゲームうまおとへたおに分かれます。
- うまお ランクマ2000回がんばってダイヤです!マスター目指します!
- へたお ランクマ5000回こえたけどシルバーです…ランクマやだ…
同じルールのじゃんけんをしているはずなのになぜうまおが常に勝つのか?簡単に説明します。
へたお「よし!置きで相手の差し込みを撃退するぞ!」
うまお「置きブンブンしてる!よし、近づいて差し返しだ!」
へたおの置きをうまおが差し返す。
うまおの勝利。
うまお「よし!置きで相手の差し込みを撃退するぞ!」
へたお「置きブンブンしてる!よし、近づいて差し返しだ!」
うまお「あっ!へたおが近づいてきた!差し返し狙ってる!差し込みしたろ!」
うまおの置きをへたおが差し返ししようとするのをうまおが差し込み。
やっぱりうまおの勝利。
ちょっと紙芝居が乱暴でしたが、雰囲気が伝わっていると信じます。
では、「へたおが練習してうまおに勝つ」方法とは何なのか?
へたおは何が下手なのか?それが答えです。
うまおは「距離の調整」が上手です
まずはこちらを見てください。分類としては差し返しです。
こちらのしゃがみ中キックがギリギリ届く距離で、相手の中キックの出始めや空振りモーションを蹴っています。この技の組み合わせでは「相手が動き始めてから6/60秒以内」にしゃがみ中キックを押す必要があります。
技の組み合わせによってタイミングは異なりますが、最近話題になった「ウメハラ差し返し」がこれです。安心して空振りしたら「ウメハラの差し返し」が飛んでくるのです。トップレベルというかトップの人が成功しても「すご!」となる難易度です。さすがに練習しても無理かも。だが格ゲーは自由。やりたいことをしよう。
次にこちらを見てください。分類は差し返しになります。
相手の中キックがギリギリ届かない距離で、相手の中キックモーションの飛び出る判定を蹴っています。具体的には18/60秒(0.3秒)以内にボタンを押します。私にもできる「見てからボタンを押す」差し返しです。これは簡単。
分かったでしょうか。わずかな距離の違いで「世界トップでも難しい」から「誰でもできる」まで難易度が変化します。この「距離の調整」のことを伝統的に「間合い」「間合いの管理」と呼びます。
間合いの管理を練習しよう!
だが格ゲーは自由。別に練習しなくてもいい。だけど、これだけは「2D格闘ゲームの中枢」です。間合い管理が下手なままで相手に勝つには「他の分野が激的にうまい」必要があります。
初めての地上戦をやってみよう
前に歩いて中攻撃を出す例
使っているキャラが豪鬼じゃない人も、とりあえずこれでやってみてください。個別に用意してもいいけど40キャラあるとさすがに大変なので。
ダミーの準備と練習のやり方。
ダミーの設定(豪鬼にする)
- 「ガード復帰時レコード設定」で小Pを記録。
- 「ガード復帰時再生設定」で再生前インターバルをゼロにする。
- 「ガード」を「すべてガード」にする。
練習のやり方。
- バトル再スタート位置から開始。
- 前に歩くレバーを入れっぱなしにする
- 届く距離に入ったら、1回だけ中キックボタンを押す
- ガードとなったら成功。
- 中キックが空振りしたら失敗。もっと前に歩こう
- 小Pで反撃されてしまったら失敗。もう少し手前でボタンを押そう
簡単そうですね。でもこれ、練習方法は
100回やって100回成功するまで続ける
(1ミスするごとに貯金箱に100円いれる)
って練習なんですよ。ハイ、むずい。
へたおが練習する様子
簡単そう、というか簡単です。
なにこれ誰でもできる!
という感覚を覚えてください。でも100回連続となるとチョイチョイミスる。
うまおは100回やっても98回ぐらい成功します。しかも疲れない。
へたおは10回連続成功するだけでも必死です。すごい疲れる。
これがうまおとへたおの差です。
ここからウンチクを書きますので、100回練習をしながら読んでください。
あなたはコップに牛乳を注ぐ時に「半分ぐらい入れて一旦止めて、そこからゆっくりゆっくりと注いで慎重にまんたんにする」ことはないでしょう。コップの形や大きさが少々違っていても、「なんとなく一発でまんたんにできる速度」で注ぐはずです。その一発作業に、数学的計算や決意のための精神的負担はありません。失敗することはないし、失敗すると思っていません。
前に止まらずに歩いて中キックボタンを押す。結果としてガード(ヒット)になる。これを理屈でやってはいけないのです。状況をみて計算や判断して考えながらやってはいけないのです。
理屈では
- 「初期の距離」と「前進速度」を把握して、
- 「距離÷速度で時間を得る」あとに
- 「得た時間通りにレバーを倒す」を行って
- 「速やかに中キックボタンを押す」
ことになります。これを牛乳で言い換えると
- 「コップの容積」と「注ぐ流量」を把握して、
- 「容積÷流量=時間」を計算し、
- 「牛乳容器を時間通りに倒す」を行って
- 「牛乳容器を立てる」
を「コップに牛乳を注ぐたびに毎回計算・検討をする」という意味になります。
では、あなたはどうやって「牛乳を注ぐ」をマスターしましたか?牛乳注ぎの練習を両親にやらされましたか?違いますね?
僕がやる!
と宣言して、何度もこぼしながら牛乳を注いだはずです。
自転車に乗る、チャーハンを煽る、楽器を演奏するなどに共通する「できるようになる」変化を手続き記憶といいます。
作業手順通りに反復しているうちに、「どうやって覚えたかは忘れてしまうが、できるようになる」ことです。1回で「できる」ものもあれば、1万回やっても「できない」ものもあります。
最も大事なことは、
「出来るようになりたいと思ってはいけない」
の一点です。
「なりたい」ということは「いまはまだできない」、つまり「できない確信がある」ということです。手続き記憶が完了しません。逆に、手続き記憶が完了するまえに「できると確信する」ことはありえます。「自転車乗りたいな~」と思っている間は、乗りこなすことは出来ません。もう自転車に乗れる人が「自転車乗りたいな~」とは絶対に言いません。
悩んだり望んだり予測したり分析したりするのをやめて、視覚と触覚と聴覚だけに集中して反復練習をします。豊かな感情をオフにして爬虫類になってください。そして、失敗したときは1/60秒でリスタートし、成功するたびに
「できる!マスターした!」
と感じてください。ここで頭の中でしゃべらないでください。言語野を使ってはいけません。どうしても頭の中でしゃべるタイプの人は「あっ!」とか「ハッ!」ぐらいにしてください。
ゲームがうまい人は3回やれば「できる」ようになります。あなたが何回で「できる」のかは分かりませんが
「こんな簡単なことはいずれ身につく」
と信じることがスタート地点です。実際、簡単ですし。
ウンチクおわり。
何回成功しましたか?次の段階に進むには連続成功100回が望ましいのですが。私は33回目で失敗しました。へたおヂカラを発揮しました。
とりあえず次の段階にいってみましょう。練習方法は同じですが、ダミーの設定を変更します。
ダミーの設定(豪鬼にする)
- 「ステータス」を「レコード再生」にする
- スロット1に「ずっと前進する」を記録
- スロット2に「しゃがんで10秒停止」を記録
- スロット3に「半歩後退して10秒停止」を記録
- アクション再生設定でスロット1・2・3をオンにする
半歩がどのぐらいかは自由に設定してよいです。対戦相手が動く距離は分からないので、なんとなくでかまいません。
へたおが練習する様子
チョイ難しい。でも無理!不可能!って感じでもない。まぁまぁやれますね。
すでに目の肥えたあなたなら「いまの中Kはガード時に小P確反あるね!」を見抜けるはず。さぁ!やってみよう!やりたいなら!
でもちょっとゲームっぽい。ちょっと楽しげ。
さて、2種類の差し込み練習をマスターした、ということにしましょう。
次は「歩いて打撃」をダミーにやらせて、ガードの練習です。
ダミーの準備と練習のやり方。
ダミーの設定(豪鬼にする)
- 「ステータス」を「レコード再生」にする
- ダミーとの距離をバトル再スタート位置にする
- スロット1に「前進して中キック先端をガードさせる」を記録
- アクション再生設定でスロット1をオンにする
練習のやり方。
- バトル再スタート位置から開始。
- ダミーが前進してくるので、しばらく待つ
- 届く距離に入ったら、1回だけガードするためにレバーを倒す
- ガードとなったら成功。
- ダミーの中キックがヒットしたら失敗。もっと早めにガードしよう
- 下がって中キックが空振りしたら失敗。もう少し待ってからレバーを倒そう
ダミーの中キックをガードしたときに、小Pで反撃できたらレコード失敗です。アクション再生設定をオフにし、バトル再スタート位置にもどしてからレコードをやり直してください。でもあなたはすでに「この距離をマスターしている」ので正しいレコードができるはずです。
へたおが練習する様子
一瞬だけレバーを倒してガードする練習なので、ずっとしゃがみガードしていては意味がありません。 攻撃されるギリギリまで我慢してからガードしましょう。
でもまぁ、簡単ですよね。だって、基本的な差し込みは操作できるし、その結果がどういうタイミングで打撃を出すか知っているのですから。
さて、ついに「置き・差し返し」を練習するときが来ました。ダミーの設定はそのままで練習します。
では簡単な方の置きからやってみましょう。
置き(置き技)の練習のやり方。
- バトル再スタート位置から開始。
- ダミーが前進してくるので、しばらく待つ
- 届く距離に入ったら、1回だけ中キックを押す
- ダミーにヒットしたら成功。
- ダミーの中キックがヒットしたら失敗。もっと早めに置き技を振ろう
- 中キックが空振りしたら失敗。もう少し待ってから置き技を振ろう
ガードするタイミングより8/60秒早く中キックを押しましょう。
へたおが練習する様子(置き)
まぁ、できますね。ガードするのと大差ないはずです。 簡単すぎて中Pとか振ってしまいました。ごめんなさい。
次は差し返しをやってみましょう。
差し返しの練習のやり方。
- バトル再スタート位置から開始。
- ダミーが前進してくるので、しばらく待つ
- ダミーが出す打撃が当たらない距離まで、あらかじめ半歩下がっておく
- (ダミーが中キックを空振りする)
- 差し返しするため、1回だけ中キックを押す
- ダミーにヒットしたら成功。
- ダミーの中キックがヒットしたら失敗。もっと遠目に後ろに下がろう
- 中キックが空振りしたら失敗。下がる距離が長すぎるか、押すタイミングが遅すぎます
すでに述べた通り、「ギリギリ空振りの距離」なら「押すタイミングは簡単」です。「ちょっと遠目の距離」なら「押すタイミングは激むず」です。後ろに下がる距離も同時に練習しましょう。あなたはダミーが攻撃するタイミングを知っていますが、画面をみてから中キックを押してください。
同じ技なのに、空振りした距離から振ったのに届いてしまいます。
差し返しの不思議!
ズルとも言う。
ガードするタイミングよりどのぐらい早く下がっておかないと間に合わないのか、感じておきましょう。レコードの状況によりますが、20/60秒ぐらい早めだと思います。ギリギリ空振りさせるように「間合いを管理」しましょう。
ダミーが中キックを空振りしたら、すばやく差し返しをしましょう。「ダミーはどうせ中キックを出すのだからタイミングよく押すだけ」でも当たりますが、練習にはなりません。見てから押しましょう。
へたおが練習する様子(差し返し)
まぁ、できる。差し返し、たのしい。地上戦、たのしい。
地上戦の秘密
では「みんなが地上戦ができない」秘密をバラします。
スロット2に以下の動きをレコードしてください。
- ダミーとの距離をバトル再スタート位置にする
- 「前進して中キック先端がギリギリ届かない位置で停止」を記録
スロット1とスロット2で、置きの練習をしてみましょう。ダミーの動作は、前進して中キックの先端を当てる動きと、前進して中キックが届かないところで停止する動きの2種類となります。
へたおが練習する様子(置きver.2)
はい、無理。もちろん前進してきたときは置き技が当たりますが、停止されると確実に空振りしてしまいます。そして、ダミー側に「見てから簡単」な差し返しのチャンスが訪れます。
これは原理的に無理なのです。前進してきた相手に絶対に置きで対処する!としたとき、ダミーがあと1/60秒前進すれば中キックが当たる距離まで近づいてから……
- 停止する
- 1/60秒前進し、同時に中キックを押す
のどちらかをされると、判定するまでの時間はゼロです。
もちろん実際に完璧な間合い管理はできませんから、距離が完璧でない分の猶予があります。
1/60秒でどのぐらいの距離を移動できるのでしょうか。豪鬼の場合はバトル再スタート位置から48/60秒前進すると相手に密着します。TheGridステージの床の最小マスで30個の距離がありますから、1.6/60秒で1マス・1/60秒で0.6マスの速度です。あなたは何マスぐらいの精度で間合い管理できますか?相手が停止していれば2マス未満でしょう。
これが置きの難しさです。狙って当てることは不可能です。「相手が前進してくるだろう」という予想を当てるしかありません。
差し返しの秘密もバラします。
スロット3に以下の行動を追加します。
- ダミーとの距離をバトル再スタート位置にする
- 「前進して密着寸前まで近づいて中キックを振る」を記録
スロット1と3をオンにして差し返しをしてみましょう。ダミーの動作は、前進して中キックの先端を当てる動きと、さらに前進して中キックを当てる動きの2種類となります。
へたおが練習する様子(差し返しver2)
はい、無理。
これも置きと同じ理由で原理的に無理です。先端を当てるのがセオリーですが、さらに前進してから技を出してもよいからです。この無謀かつ勇気ある行動を、ストリートファイターでは「踏み込み」と呼びます。
この「はい、無理」に至るための攻撃技術が難しければ、攻防となります。ですが、あなたはもう「前進して技を当てること」が簡単だと知っていますね?もちろん「その直前で停止して技を振らない」のも簡単です。
にも関わらず、差し込み・直前で停止・踏み込んで差し込み、の全てに対応する万能の防御方法はないのです。
地上戦で最強の技。それは弾。
でも唯一、対処できる方法があります。それは、弾です。
弾は、長くて・殴られることのない、通常技なのです。出るのが遅い「しゃがみ強キック」なのです。
弾で地上戦を拒否する様子
豪鬼の豪波動拳が近距離ヒットでダウンするのは、まさにこの用途向けの性能です。相手が見てから弾抜けできないように、そして地上戦を拒否するために通常技の外から、絶妙な距離から弾を撃つことになります。
ただし、弾は動作硬直が長いため、同時にジャンプ攻撃されると痛いコンボが入ります。いつも同じ距離から弾を撃って地上戦を拒否し続けることは出来ません。
弾がないキャラは強攻撃が長く、同じ理由で便利です。ただし、弾ほどではないですが硬直が長いのでジャンプ攻撃が確定することがあります。
地上戦の三すくみの秘密が少し分かったと思います。
よく考えれば当たり前なのですが、「差し返しされることが確定する空振り」をしたいと思う人はいません。ということは「相手に空振りさせる」という謎の技術がないと差し返しのチャンスすらないということです。だから差し返しだけの練習をしてもあまり意味がありません。
置きも同じです。素直に前進してくる人はいません。ブンブン空振りしているところに体当りしてくる人はいないのです。「相手に前進させる」という謎の技術が必要です。
差し込みもそうです。「相手を立ち止まらせる」「しゃがみガードさせる」という謎の技術が必要です。
だから画面端に相手を追い込むと勝てるのです。
画面端で起き上がると、まず差し込みがやってきます。何かして動くと、長い技が飛んできて差し返しされます。前進しようとすると、置き技に当たります。どれも拒否できません。
地上戦を少し工夫する
では少し工夫して地上戦をやってみましょう。
わかりやすくなるように、スロットの何番が動いているか表示するようにしました。
レコード再生情報の表示を「表示する」にして録画しました。
前歩き打撃・前歩きガード
前に歩いて置き技を振る。または前に歩いてガードする。(置き)
前に歩いて置き技を振る。または前に歩いてガードする。(ガード)
ダミー設定
- スロット1 前進して中キック先端をガードさせる
- スロット2 前進して立ち止まる
置き技を振ったら、相手が目の前で立ち止まった!空振りしてしまう!を防ぐには、空振りしないように前に歩けば済む話です。単純ですね。相手が歩き出したのを確認してからこちらが歩くとヒットする確率が高い気がします。お互い前進するので速度が2倍になって対処が遅れるからだと思います。
しかし、前に歩くのは無防備です。とても危険です。なので半分ぐらいは前に歩いた後にガードしましょう。繰り返しガードすることで、相手が技を振ってくる「理由」が少しずつ分かります。置きたいのか、当てたいのか、こちらの前進に反応しているのか、そんな情報が手に入ります。相手の「踏み込み」を抑制できます。
下がりガード・下がり差し返し
後ろに歩いてガードしながら差し返し技を振る
ダミー設定
- スロット1 前進して中キック先端をガードさせる
- スロット3 前進してさらに踏み込んで中キックをガードさせる
まず、少し後ろに下がります。そして、踏み込んで技を振ってくる相手の攻撃をガードします。タイミングよくガードする練習はすでにしています。そんなに難しくはないですね。そして、ガードするタイミングからほんの少し遅らせて中キックボタンを押します。ガードとなった場合は、ガード硬直で動けないので中キックは出ません。
しかし、ダミーが踏み込みしない場合は技を空振りします。そして差し返しが成功します。ほんの少し下がる距離と、ほんの少し踏み込む距離が同じだと成功します。
このテクニックは 様式美 | Youshikibi (@Youshikibi_) | Twitter さんに教えてもらいました。私は「魔法」と呼んでいます。遅らせグラップと同じ仕組みです。
実戦では「あらかじめ下がっておく」では絶対に成功しません。相手が近づいて来たら、「すこし早めに下がりっぱなしにしながら、ガードしそうなタイミングからやや遅らせて、差し返し用の技を振る」という操作になります。魔法の弱点は下段攻撃による差し込みです。
地上戦と前ステップ
地上戦の三すくみを壊す動作があります。それは前ステップです。
対空が出る相手に対して、お互いに通常技がギリギリ届かない距離で細かく前後移動して状況が膠着することがあります。そこで登場する新たな手が「前ステップ」です。
置きが機能することから逆算すると、前ステップは差し込みのはずです。しかし、細かい前後移動で膠着しているのですから「置き」はお互いにやっていません。だから差し込みである前ステップが有効です。
前ステップは最短で15/60秒で飛んできますから、「見てから止める」のは非常に難しいです。前ステップからは、弱の下段攻撃か投げが有効です。弱攻撃2発を手続き記憶し、1発目をヒット確認して必殺技にキャンセルする連携が一般的です。
- 前ステップする
- 前ステップ終了に合わせてしゃがみ弱キックを押す
- 【しゃがみ弱キックのヒット確認をする猶予時間の始まり】
- しゃがみ弱パンチを押す(手が勝手に押す)
- コマンドのレバー部分だけ入力する(手が勝手に押す)
- じゃがみ弱キックをヒット確認し、必殺技を出すボタンを押す
- 【しゃがみ弱キックのヒット確認をする猶予時間の終わり】
弱攻撃2発ヒット確認の練習
下手だろう?まぁこんなもんですよ。
前ステップは非常に強力ですが、「みんな強力だと知っている」こともまた事実です。「こいつ地上戦で困ると前ステップしてくるぞ」とバレてしまってはいけません。相手の前ステップを意識すると対空できなくなり、対空を意識すると前ステップに対応できない、という噂です。前ステップの使い所を研究しましょう。
ということは、地上戦とな何なのか
いくつかの要素が出てきましたね。ここでまとめておきましょう。
- 三すくみがある。置き・差し返し・差し込みはお互いに機能しあう。
- 通常技の性能が、三すくみのどれで有効か知っておく必要がある。
- 地上戦には、技術では不可能な心理戦があり、工夫する技術がある。
- 弾は地上戦で最強の武器となる。しかしスキも大きい。
- 地上戦が膠着すると、前ステップや飛びに派生していき、試合が動く。
というわけで地上戦の基礎について解説してみました。
地上戦たーのしー
と思ってもらえると嬉しいです。
さいごに。
そして、4週目の講座も終了です。最終回です。おつかれさまでした。地上戦は永遠に練習できるので、これからも楽しく続けていきましょう。たーのしー
さて、ネタバレの時間です。
4つの記事で私が何を伝えたかったか、答えを書いてしまいます。それは2つです。
1つ目。
ネット上に初心者講座はいっぱいありますが、正直言って難しすぎます。「対空出せ!」とか「起き攻めできるコンボからセットプレイで+2F有利にして打撃を埋めるか投げで択をかけろ!」とかそういうやつです。
そもそも何を言っているのか意味不明な専門用語ばっかりだし、やっと意味を理解しても操作が難しすぎて「こうやって練習してね」の1回目の成功がいつまでたってもできません。
だから、格闘ゲームというかゲーム自体が初めてでも練習を始められるようなものを用意したくて書きました。まぁそこそこうまく書けたんじゃないかな。
2つ目。
初心者だということを負い目に感じないでください。システムを知らなかったり、操作が下手だったり、勝負の駆け引きが下手だったり、結果として勝てなくても負い目に感じないでください。
「誰でもダイヤになれるよ」みたいなの、全部ウソです。今、ダイヤモンド以上の人は28000人います。Fighter's IDで数えて124万人もプレイしているのに、です。たった2.2%のダイヤモンド以上の人たちにとっての「ダレデモ」に過ぎません。
2019年度の大学生は、290万人います。東京大学が27000人ぐらいで、京都大学が22000人ぐらいで、慶応大学が33000人ぐらいです。「誰でも東大・京大・慶応に入れるよ」を、そのままの意味で受け取るほうがおかしいです。
だから、2.2%でない97.8%の人たちのために2つの道を示したつもりです。
1つは、幅広い分野のいろんな入り口を示して高いモチベで練習してもらうこと。何を練習したらいいのかわからない人に、いろんな練習法と練習分野を示しました。
2つは、諦めること。「こんなに覚えるの?」はい。「こんなに練習するの?」はい。でも大切なのは自由の行使です。やりたいことだけやる。やりたくないことはしなくていい。それで楽しければ続けるだろうし、なんだか楽しくないならやめてしまえ。だってゲームなんだから。本気になれるものはコレではなかった、だけ。
私の動機は「対戦プレイする人を増やすこと」です。とにかく人数です。
おわり。
さて、ここまで長い記事を読んでいただいたお礼に、私からズルをプレゼントします。今日から使えるズルなので、3分ぐらい練習してさっそく使ってみてください。
今日から使えるズル全集
これは置き(置き技)?それとも差し返し?どっち?
ブロンズからシルバーになる辺りで「確定反撃(確反)を覚えよう!」という話になります。
確定反撃(確反)の例
みんな頑張って「弱赤鴉豪焦破をガードしたら確反のこの技からコンボする!」練習をします。もう手が勝手にボタンを押します。そうしないと間に合いません。
そこになぜか置き(置き技)が登場します。
置き(置き技)の例
頑張って覚えた確定反撃用の中キックが「置き弱キック」に負けています。
種明かしをします。
そもそも距離が離れていて確定反撃ではありません。(タイミングは間に合っています)
そこに「ちょうど勝つタイミングで弱キックを出す」のです。
この場合の置き弱キックはタイミングが必要ありません。ただ最速で押すだけで勝手に中キックに勝ちます。「中キックに対する弱キックによる差し返しのカタチ」ですが、画面を見て「えいっ!」と弱キックを押しているわけではありません。置き(置き技)なのに差し返しになる……これを「オート差し返し」と呼ぶ人もいます。
しかし「置きは差し返しに弱い」のでした。置き弱キックに対して差し返すことが出来ます。最速で強パンチを押します。先に出る差し返し強パンチが置き弱キックに勝ちます。
しかしこの強パンチも「見てから押す差し返し」ではありません。これは置きなのでしょうか?差し返しなのでしょうか。それとも差し込みなのでしょうか。
そして強パンチは空振りの硬直が長いため、差し返しされやすい技です。
すこし長くなってきました。整理しましょう。
- 弱赤鴉豪焦破をガードした後の中キックが届かない距離において。
- 中キックの空振りには弱キックで差し返しができる。
- 弱キックの置きには強パンチで勝つことができる。
- 強パンチは届かないので空振りを見てから中キックで差し返しができる。
どれが置きでどれが差し返しなのかは自由です。格ゲーは自由。
大切なのは「知識でうまおに勝てる」ということです。4番の「強パンチを見てから差し返し」も、知っていればできます。それは「差し返し体験」で確認したはずです。
近距離で状況ごとにどのボタンを押せばよいかは、フレーム表とトレーニングモードで答えが出せます。操作が下手なら知識で勝負しましょう。まぁうまおは「そこは2F遅らせると勝てる」とか意味のわからないことを言い始めるのですが……。
Gスピンキックをガードすると5F有利。ですが届かないとオート差し返し。
ファイアースピナーをガードすると4F有利。ですが以下略。
無敵技と、無敵技に当たらない通常技の攻防
中クルーエルディザスターをガードすると4F有利。ですが以下略。
レインボーミカの弱キック>中パンチのターゲットコンボをガードすると+5F有利。ただし、しゃがみガード時のみ弱キックが届く距離だと距離が遠い。バトル再スタート位置からの溜めドロップキックガード後など。もちろんコマ投げが届く。
空振りするとリディミカや情熱ロープ投げなどでオート差し返しとなる。
弱気功拳をガードすると6F有利。しかしこの連携の後の距離では豪鬼には6F以内に届く技がないのでEXスピニングバードキックを出すことができる。(届くが7F目にガードとなる。)
姿勢の低い技なら、EXスピニングバードキックを空振りにすることができる。
次は投げ抜け後です。五分の状況ですが、知識で勝っていきましょう。どちらも同時に動けるようになります。だから、早く出て遠くまで届く技を出したい状況です。
豪鬼の場合
豪鬼の強パンチが長いので振る人が多いです。発生が早い技を最速で振ってしまうと差し返しとなってしまいます。発生が7Fの技だといい感じに勝つことが出来ます。強パンチ自体は見てから差し返しできる技ですから、自信があれば狙っても良いですね。
リュウの場合
リュウは発生のすごく遅い鳩尾砕き(レバー前入れ強パンチ)を出してくることがあります。当たれば昇龍拳がかならずコンボになります。これは発生の早い中攻撃が完全に出終わってから当てようという狙いです。しかも、ガードしても2Fの不利のみで確定反撃がほとんどありません。
そこで「投げ抜け後にほんの少し下がる」ことで鳩尾砕きの2段目が当たらなくなります。この場合は7F有利となってほとんどの中攻撃で確定反撃となります。リュウが昇龍拳でキャンセルした場合は連続ガードとなるだけなので安心して7F確反を行えます。
日々、全力でズルを探していく。たーのしー
おわり。