波動昇竜拳を考える

波動拳を撃って相手をジャンプさせ、昇竜拳を出して迎撃する。ストVにおける波動昇竜は成立するのか?

 

 

 

安全な波動拳を撃てば、波動昇竜の完成

この距離で撃て(トレモ開始時の距離)

波動拳をガードした後に最速で前ジャンプすると、相手が豪波動拳を撃っているのにジャンプ攻撃がガードされてしまう距離がある。先人曰く、「安全波動」也。

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そして昇竜拳を出せ

だから中豪昇竜拳を出せば当たる。最速で出そう。是即ち「波動昇竜」也。

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でもその距離で波動拳を撃つと飛びがかみ合う距離では?

波動拳撃ったと思ったら相手が飛んでいた

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ダメージ343スタン値533

波動拳を撃つだろうと思って飛んだら豪昇竜拳で落とされた

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ダメージ120

ここまでのまとめ

  • 安全波動を撃ちたいけど、飛びが刺さると対空の3倍減る
  • ならば3回飛んで1回刺されば勝ち。とにかく飛べば勝つ
  • ならばならば波動撃たないぞ!昇竜だけ出す!
  • ならばならばならば波動撃つ。安全波動。
  • ならばならばならばならば3回飛n
  • ……あれ?波動昇竜いらなくね

結論。波動撃たないし、飛ばないし、対空の準備してる。

じゃぁどうするの?

確実に使えるのはコンボの〆から

離れて中P>弱赤鴉豪焦破>波動昇竜(相手がその場受け身したとき)

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離れて中P>弱赤鴉豪焦破>波動竜巻昇竜(相手がうしろ受け身したとき)

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どちらのコンボも起き上がりリバーサル中竜巻斬空脚で弾抜けを狙うと波動拳を抜けられずに当たる。

 弱竜巻斬空脚は(絶妙に出された)相手のジャンプ攻撃に負けるが、相手のジャンプ攻撃には中豪昇竜拳が勝つ。EX豪昇竜拳ならジャンプ攻撃を出されても出されなくても勝つ。空中軌道変化の場合はそれぞれの技による。いわゆる昇竜釣り。まぁだいたい波動昇竜が有利

こういう読み合いもある。

安全波動へのCAパなし

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安全波動へのCAパなしへのトリガー発動

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でもコンボの後は起き攻め択の方がいいのでは?

弱赤鴉豪焦破を当てたら前ステ>前ステで+6Fの有利となる。後ろ受け身時は+11Fの有利となる。どちらも投げ間合い内であり、投げと打撃の選択を押し付けて相手の対応を強制することができる。ただし遠目の中Pキャンセルによるコンボは後ろ受け身で投げ間合いの外となる。 

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 密着+6F有利。発生と持続を加味すると、屈中P・屈中K・大Pが埋める技の候補になる。小K・中Kは1F早すぎる。+11F有利は屈大Pが埋まる。大Pは後ろ受け身に1F早すぎる。屈大Pはその場受け身に1F間に合わない。2種類の受け身からリバーサル3F通常技を出されても両方潰せる通常技はない。ここで「技術の差」が出る。2種類の受け身を見分けられるか。適切な技を最速で或いは絶妙に遅らせて出せるか。ここで「勝負勘の差」が出る。打撃と投げのどちらを選択するか。どちらも選択せずシミーするか。格闘ゲーム勝負の分かれ目がここに集約されている。

 

つまり、波動昇竜にはそれがない。永遠に波動昇竜。

 

 

1発目の豪波動拳のガードが成立してから2発目の豪波動拳が発射されるまでの1秒に満たない間は「前ジャンプ攻撃」を封じられつつ「飛んでくる波動拳へ対処する」しかない時間となる。旧時代の格闘ゲームにおけるこの状況は「詰み」だったのだ。

かつて「詰み」と言われた状態の例。

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カプコンの回答は「弾抜け」技の追加

 豪鬼なら中竜巻斬空脚がEXゲージ消費なしで出せる。ハイ、解決。

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竜巻くるの分かってるなら最大いれたるわ!ハイ、反撃。462/504

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f:id:manie:20190305000054g:plain没案。

弾抜けは弾を見てから抜けるために練習が必要な難しさに調整されています。 1発目の波動拳を「弾抜けできないタイミング」でガード成立すると、攻撃側と防御側に分かれた選択に偏りが生じます。いわゆる「択をかける」状態になります。

  • 攻撃側 2発目の波動拳を撃つ または 弾抜けを様子見する
  • 防御側 弾抜け技を出す または 何もしない

結果は4通りあります。

  • 防御側の弾抜けが成功する
  • 防御側の弾抜けが失敗し、ガードされる
  • 攻撃側の豪波動拳を防御側がガードする
  • 攻撃側は何もせず、防御側も何もしない

でも、この4通りになるのはわずか0.5秒の間のみです。その直後から何が起こるか全くわからなくなります。何をしても自由だからです。むしろ5通り目の結果として「無駄だと分かっているけど波動拳を飛び越して対空昇竜を喰らう」ことすらあり得ます。

では、波動昇竜は全く無駄な行動なのでしょうか?最大で豪波動拳の削り1回しかリターンがないのでしょうか?択をかけるチャンスを1回捨ててまでやる必要があるのでしょうか?

「速い展開で攻めを継続していくぅ~」をしたいですか?したくないですか?

要するに波動昇竜をやっても意味ないしリターンもほとんどありません。いまどき波動を先読みして飛ぶ人はいません。むしろ特に意味もなく飛んできます。でも確実に何も起きずに時間だけ過ぎる状況を作れます。たった0.5秒ですが。

ところが人間というのは不思議なもので、0.5秒の膠着状況を作るだけでその後の数秒間の行動を大幅に制限できます。防御側の気持ちを考えると何が制限されるのか分かります。

攻撃側は2回連続で波動拳を撃ってくるか、何もせず様子見して対空もガード反撃もできる状態を維持するか、どちらかです。そのどちらにも勝てる選択肢でない限りは自信をもって選択することはできません。

  • 前ステップ 2発目の波動拳に正面衝突するかもしれない
  • 前歩き 前ステップと同じ。特にEX豪波動拳だと確実に。
  • 垂直ジャンプ ちゃんと波動拳を見てないないと踏んでしまうかもしれない
  • バックステップ 2発目の波動拳を再びガードさせられるかもしれない

しかもお互い何もしなかった場合は「ハイ、もう対空の準備してないから前ジャンプし放題!」と思う人がほとんどおらず、実際に対空が出る人がほとんどです。だから前ジャンプも選択肢から外れます。まぁ実際対空出るし。

波動昇竜と見せての何もしない、からのおススメ選択肢は歩きです。前でも後でもいいです。どんどん時間が過ぎていきます。起き攻めを1回捨ててまで得られるのは何も起きずに経過する時間です。

バーディやメナトダルシム相手に、この分岐を選ぶのは愚策でしょう。とにかく触って択をかけ続けたい相手には波動昇竜を仕掛けてはいけません。逆に体力を勝ち越したまま時間を経過させる方が有利になる状況を考えなければなりません。

ゆっくりした展開が必要になる時

EXゲージが3本ある相手のリバーサルCAを警戒するのは普通のことです。出させて回避すれば相手の勝ち筋はほぼなくなります。しかし相手がリバーサルCAを出したくなるようなこちらの前兆を見せつつ、リバーサル下段などのすべての選択肢に勝つことも不可能です。あるいは劇的にシビアな操作が必要です。たとえば数フレーム後ろ歩きしてから下段ガードが必要です。 そこで波動昇竜と、そう見せての様子見です。波動昇竜なら割と簡単。波乱なし。

スタンリーチ時の通常技あばれが成功し、相手にコンボを決めたとき。さらに起き攻めを成功させて一気に勝つこともひとつの方法ですが、こちらのスタンゲージを回復させる時間を稼ぎつつ、波動拳をガードさせて相手のスタンゲージは維持するという作戦も有力でしょう。改めて前ステップと前ジャンプをすればどちらかは通るものです。

そんなの逆だよ!って人もいると思います。でもそれでいいんです。格闘ゲームは自由です。何を考えてもいいし、何をしてもいい。

波動昇竜と見せての、何もしない。からの?

お互いに何もしない。歩いたりステップしたりもしない。対空したあと下がってもほぼ同じ。これ、よくある。飛んだら落とされそうだし弾抜けも見ていそう。前にも後ろに歩けない。さぁどうしよう。の後に何をするか。

もちろんすでに1回は「波動昇竜やりますよ」って見せている必要があります。起き上がりに波動拳を重ねるだけで分かり合える人もいるし、2発目の波動拳を撃って初めて飛ぶと落とされそうだなって思う人もいるし、実際に対空されるまで理解しない人もいます。格ゲーは自由。

おススメは前ジャンプ攻撃

半分ぐらいの確率で相手は弾抜けを狙っているのだから、対空は出ません。特に前歩きしてこない人はほぼコレ。両方狙って両方できる人はかなり上級者。しかも波動昇竜からすぐにやるのがおススメ。豪波動拳からの最速前ジャンプ。豪波動拳からちょっと止まってからの前ジャンプ。どっちもおススメ。

前ステップと前歩きはかなり有効

うまいリュウはこれだけで勝っていく。波動拳が来たらガードしようと身構えていると前ステップから投げ。弾抜け注視も同じ。豪鬼の波動昇竜は遠目からやるので投げ間合いには入れないが、スッと前ステップさせてくれるタイミングがあるのはありがたい。中K>弱赤鴉豪焦破で押していくのもいいし、大Pでのクラッシュカウンターも狙える。私の好みは図太く歩き投げ。もりもり歩いていく。ほとんどの人が歩きを中攻撃で止めてくるが、まだひとりもコンボができた人はいない。大幅にラインが上がる経費は中攻撃の60だ。前に歩け。まさかの投げ成立だとほぼ画面端までいける。投げろ。

波動拳からVトリガー発動

そもそも強いムーブだけど膠着状態から間を置かずにやるのがさらに強い。まず、なんとなく飛ぶ相手にかみ合う。安易な飛び、ダメ。弾抜けしてきたところを一時停止して確認して反撃を合わせられる。気持ちいいタイム。弾無敵かつ打撃無敵の技はほぼないのでかなり勝つ。 

本当は1発目から発動します。

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下がって下がってしゃがみガードし、さらに下がって下がってしゃがみガードする

このムーブ。圧倒的に守れる。とにかくダメージを受けない。置き中K仕込みとかするとちょっと攻撃寄りにもなる。圧倒的時間稼ぎ。待ちプレイ。単に攻めないのは無意味だけど、相手が攻めたいか守りたいかを見るために待つのはとても大事。からの前ステ前飛び前歩き。緩急大事。

ただし波動昇竜の効果は約3秒

人間の認知は近い過去ほど重要に感じます。さっきの波動昇竜より目の前の3秒間が大事です。遠い過去が意味を持つにはパターン認識による単純化が必要です。10秒昔のことは「飛んだら落とされた」ぐらいに単純化した認知に変わります。しかも「失敗した感情」が強く残り「うまくいった感情」はどんどん薄まっていきます。

だからこそ、パターン認知されやすい波動昇竜は過去の記憶に残りやすく、その後の行動に影響を与えやすい。

安全波動まじ安全

安全波動を撃たれても弾抜け反撃出来て、万が一波動拳出されてなくてもガードされて有利フレームで攻め継続になる技があれば解決なんだけどなぁ……。あるわけないよなぁ。

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おわり。